保健師からのメッセージ

現役の保健師が保健師の魅力をご紹介します。

2021

細川 倫子
感染症対応を通じて保健師からのメッセージ
細川 倫子
船橋市保健所地域保健課 課長補佐
 船橋市は人口64万人を擁する、政令指定都市を除くと一番人口規模の大きな市で、保健師が令和3年4月現在で134人います。船橋市では、新型コロナウイルス感染症対策が本格化した令和2年2月、新型コロナウイルス感染症対策保健所本部を設置しました。その中で、保健師が担う業務は相談対応、疫学調査、PCR検査や入院に係る病院調整、感染予防に関する知識普及や助言・指導など多岐にわたります。感染症対策には専門的な知識も必要で、当初は保健師が講師となりPPE着脱など実技も含めた職員への研修を行い、知識や技術を磨きながらのスタートでした。また、本部内では、これまでの業務経験や勤務年数などを考慮して保健師を配置し、業務対応状況をみながら随時配置改編を行い、体制を整えてきました。コロナ禍では現任研修等の機会が殆どありませんでしたが、感染症対応を通じて保健師としての成長が目覚ましく、頼もしさを感じています。
 新型コロナウイルス感染症対策においては、様々な職種が尽力しています。その中で、専門職である保健師の役割や存在がクローズアップされたことで、これまで以上に保健師への期待とニーズが高まっています。一緒に仲間として活躍してみませんか。
細川 倫子
船橋市保健所地域保健課 課長補佐 細川 倫子
岩野真保
コロナ禍における統括保健師からのメッセージ
岩野真保
島根県健康福祉部健康推進課 統括保健指導監
 県内で新型コロナウイルス感染者が始めて確認されたのが、令和2年4月9日でした。私が県の統括保健師の業務も担う保健指導スタッフとして着任して、8日後のことです。
 人口約68万人の小さな県であるからこそ、感染者が発生すると多くの問い合わせ電話が入り、相談対応に多くの人員を要しましたが、感染対策に注力するために、健康相談業務の委託や、在宅保健師の会からの応援依頼などに早期から着手しました。
限られた人員や資源の中で、市町村を初めとする関係機関の多くの協力や応援、ご努力により、感染拡大が防げている状況と考えます。これも、日頃の保健師の活動を通して、関係機関との顔の見える関係のベースがあったからこそと考えています。
 また、県では、「人口減少に打ち勝ち、笑顔で暮らせる島根」を実現させる、令和2年度から5年間の「島根創生計画」を策定し、「健康寿命の延伸」を盛り込みました。健康づくりや介護予防など、従来の取組をさらに加速化して成果を得るためには様々な方策が必要です。その1つに保健所と市町村の協働事業となる「モデル地区」の取組があります。この取組みは、保健所圏域に1か所モデル地区を設定し、改めて地域課題を明確化し、地域の社会資源を発掘し活用して、地域住民とともに課題の解決に向けた取組を行うものです。
 コロナ禍での地域活動は、不安と期待の両面がありましたが、担当者のスキルアップ研修との両輪で取組み、保健師は地域づくりの面白さ、やりがいが実感できつつあるようです。
 統括保健師として、安定のベテランに加え、若手、中堅期の保健師もキラキラした眼差しで活動ができることを目指して支援しています。

2020

佐藤 莉子
市役所で働く保健師からのメッセージ
佐藤 莉子
名張市役所 福祉子ども部 健康・子育て支援室
 名張市は三重県西部に位置し人口は約7万8千人で、文化・歴史・自然豊な都市でありながら、大阪まで電車で1時間と都会へのアクセスもよい市です。
 名張市では、15地域に住民が主体となる「地域づくり組織」が設置されています。また、地域ごとに「まちの保健室」が設置されており、1か所に2~3名の介護福祉士、看護師等の資格をもつ職員が配置され身近な総合相談窓口として機能しています。保健師は地域、まちの保健室と一緒に「生涯現役」「健康寿命延伸」を目指し、健康づくりに取組んでいます。名張市内でも、生活習慣、文化、地域で大切にしている柱など地域によって異なります。出前健康講座はもちろん、地域のお祭やお花見ウォーク、家庭の郷土料理をみんなで味わう食の取組への参加など地域に積極的に足を運ぶことで地域を知ることができ、より住民の暮らしに寄り添った保健師活動ができると感じます。地域の健康課題を住民やまちの保健室、関係機関と共有し、課題解決に向け地域の強みをいかした健康づくりをしていけるよう、日々活動しています。名張市で働きだして3年、年々地域がパワーアップしていると感じます。私も負けないように地域に寄り添い続けられる保健師になれるよう成長していきたいと思います。
戸谷 紗嘉
小さな離島で働く保健師からのメッセージ
戸谷 紗嘉
知夫村役場村民福祉課 保健師
 島根県隠岐郡知夫村は本土からフェリーで約2時間、人口約640人の小さな離島です。
村内には診療所がひとつしかなく、医療機関の受診は隣の島か本土に渡り、出産や長期入院等の場合は村外で過ごす必要があります。そのような環境で求められる保健師そして行政職員としての役割は多岐に渡り、地域の実情を踏まえた活動方法を考えなければなりません。本土と異なる点がいくつもあり戸惑うことも多いですが、小規模自治体だからこそ地域全体のすべての年代に関われる面白さもあります。
 また、私はIターンでやってきて働きながら、休日に本土へ渡航し大学院に通学しました。両立は大変でしたが、私自身の生活も地域に支えられ、そして大自然の恵みを楽しみながら、充実した学びを得ることができました。
 社会資源が限られる中で、周産期医療連携や子育て支援の体制を保健所と協議したり、高齢化する村でのサービス提供方法を地域ケア会議や高齢者サポート会議で模索したりと、日々、地域課題と向き合っています。しかし、住民の交流が活発で互助がしっかり機能していることは強みであり、それぞれの健康で豊かな暮らしと住みよい村の姿も思い描きながら、楽しく活動しています。
戸谷 紗嘉
知夫村役場村民福祉課 保健師 戸谷 紗嘉
夏井 演
保健師だからこそできる健康課題へのアプローチ
夏井 演
千葉市役所 健康支援課
 千葉市は、人口約98万人で6区の行政区からなります。保健師は135名在職し、1保健所・6区保健福祉センターを始めとした各部署で従事しています。
 私は、本庁の部署である健康支援課に所属し、地域保健、健康づくり、母子保健及びがん検診に関する企画、事業の推進・進行管理を担っています。
 現在は、市民や働く人等の健康づくりを進めるため、市にある地域の資源を利用し、さらに民間事業所の取り組みを組み合わせた事業を進めています。取り組みの一つとして、正しい体操を自分の地域や職場で行うことで運動のきっかけとなる運動トレーナーの派遣、ウォーキングの歩数の応じたポイントの獲得や小売業者と協働した野菜摂取の促進の共同啓発です。
 市民等が、主体的に自ら健康を意識し、自分の取り組める内容を継続的にできる環境づくりは、常に必要とされています。自分の市にある地域と社会の資源を効果的かつ、魅力的にコラボできることは、その環境づくりの一つです。
地区診断において地域や職域で顕在化している健康課題の優先度を明らかにし、対応できる方法を見出すことができる「保健師だからこそ」の技術です。
 地域に暮らす人々の健康と生活の質の向上が図れるよう、保健師として、一緒に支援してみませんか。
松島 直子
中小企業への訪問健康管理をしている保健師からのメッセージ
松島 直子
株式会社アンサー 取締役保健師
 私は現在、保健師として中小企業へ訪問して企業の健康管理の仕組みを整えたり、個人の健康管理を行う会社経営を行っています。以前は企業の保健師でしたが、もっと保健師を知ってもらいたいと思い研修の仕事を始めた時、「従業員の話を聴いてあげてほしい」とある企業の役員に言われ、2011年から始めました。従業員数50人以上500人位の規模で製造業やサービス業等の複数社と契約をしている傍ら保健師として教育研修もしています。
 訪問健康管理では、「保健指導」「健康相談」「復職支援」「職場巡視」「衛生委員会」等から優先順位を決め、月に1-2回ほど会社を訪問しています。
 初めは健康管理体制も整っていない上、保健師の役割も理解されていない事が多い中、根気よく誠実に対応していくことで、現場や本人からの依頼も増え、徐々に相談先としての体制が整っていくところに喜びを感じます。
 1回の訪問の中で、企業の事情を把握し、いかに本人に寄り添いながら納得し行動してもらうか、上司や産業医等と必要な調整をするかは大変な作業です。でも、活動を積み重ねた後に企業独自の形ができていくのはわくわくするし、従業員の笑顔がやりがいにつながっています。

2016

尾川 優
町役場で働く保健師からのメッセージ
尾川 優
愛媛県鬼北町役場保健介護課保健係(愛治公民館駐在)
私の勤務する鬼北町は、1町1村が合併した人口約1万1千人の少子高齢化が進む町です。わが町では地区担当制をとっており、担当する愛治地区の公民館に駐在しています。 公民館に駐在することで、地区に出やすく、住民の方のより近くで、乳幼児から高齢者まで生涯を通じた健康づくりへの支援を行っています。私は愛治地区出身で、 生まれ育ったこの地区を担当できることにやりがいを感じているとともに、この地区の方々に保健師として鍛え育ててもらっていると思います。
愛治地区には昭和45年から続く『健康会議』という地区組織があり、そこでは重点目標や健康学級の内容について住民と話し合い、健康診断の受診啓発や健診結果説明会、 健康教育も行っています。会議の役員は世代交代していますが、健康に対する高い意識は受け継がれています。先人の方々が耕し育んできた地区組織も、 時代とともに意義や地域環境、生活様式も変化しており、今までのやり方だけではなく、現在、さらに将来を見据えた活動にしなくてはならないと感じています。 住民の方の心に寄り添い、地域に根ざした保健師活動をしていきたいです。
関根 綾希子
県保健所で働く保健師からのメッセージ
関根 綾希子
新潟県柏崎地域振興局健康福祉部(柏崎保健所)
私は県型保健所で、感染症や母子保健、地域職域連携事業、がん対策等を担当しています。
担当するどの業務でも地域の関係者とのつながりを作り、現状・課題を共有し取り組むことを大切にしています。そのため、フィールドワークは欠かせません。 自分で見て、聞いて、感じた情報と統計資料から地域の現状・課題を整理し、会議等で共有します。保健所業務では会議の開催が多くありますが、 会議は関係者と現状・課題を共有し対策を検討できる有効な場です。
日々の活動では、地域の関係者を把握し、その人たちとチームを組むことで生まれる強みを考えながら取り組んでいます。 市町村や医師会の他、感染症では病院の感染管理認定看護師、母子保健では教育委員会、産科医療機関、在宅助産師会、地域職域連携事業・がん対策では健診機関、 商工会議所、労働基準協会、大学等と連携し活動しています。
関係者と一緒に戦略を考え、活動できることにおもしろさを感じます。活動を通し、関係者の考えや行動に変化が見え、今まで以上に熱心に取り組んでいる姿を見るとやりがいも感じます。 保健所保健師には、地域を広域的に担当しているからこそ感じられる魅力がたくさんあると思っています。
木村 糸織
大都会で働く保健師からのメッセージ
木村 糸織
世田谷区 北沢総合支所 健康づくり課
世田谷区は人口88万人と特別区の中でも最大規模であり、約100名の保健師が主に保健所と区内5ヵ所の支所(保健センター)で働いています。 私は保健センターで、主に母子保健と精神保健の分野で住民の皆さんの健康づくりに携わっています。
乳幼児健診や母親・両親学級、親子支援グループ、精神デイケアなどの事業運営のほか、それぞれの保健師が担当地区を受け持ち、住民の皆さんからの個別の相談に応じたり、 家庭訪問に出かけたりしています。初めての育児に戸惑い、不安の強かったお母さんが笑顔で子どもの成長を語ってくれる姿、精神科に長期入院していた方が退院し地域の中で生き生きと暮らしている姿など、 支援を通じて対象者の変化に触れ、人生の一部に寄り添えることが保健師の仕事の楽しさだと感じています。
また、地域に出向いて健康教室を行ったり、講演会を企画したりと、一般向けの予防活動も行っています。より健康な地域を目指して、他職種とも連携を取りながら、 個別・集団の両側面から支援を行っています。
川添 高志
起業した保健師からのメッセージ
川添 高志
ケアプロ株式会社代表取締役
私は、25歳の時にケアプロ株式会社を起業しました。1年以上健康診断を受けていない健診弱者は3,300万人。早い・安い・簡単な「ワンコイン健診」を展開し、1項目500円から血糖値、コレステロール、中性脂肪などが測定出来ます。 駅やスーパーでワンコイン健診のイベントブースを出しており、月に1万人以上の方に利用頂いています。20年以上健診を受けていなかった方が、 たまたま「ワンコイン健診」を利用されて重度の糖尿病が見つかり、早期治療ができたケースもあります。今後は海外にも展開する予定です。